【宮城・新澤醸造店】“究極の食中酒”を体現する「あたごのまつ」の真価

宮城県にある新澤醸造店。
この酒蔵は、日本酒の歴史の中でも大きな転換を生み出した存在です。
それが──
「究極の食中酒」
という考え方。
今では当たり前のように使われるこの言葉ですが、
その原点は新澤醸造店にあります。
本記事では、杉原専務から伺った内容をもとに、
「あたごのまつ」を軸に新澤醸造店の本質を深掘りします。
目次
「食中酒」という概念を生み出した蔵
かつて日本酒は、
- 食前酒
- 食後酒
という考え方が主流でした。
しかし新澤醸造店は、
「食事の中で飲み続ける酒」
という新しい概念を打ち出します。
それが「究極の食中酒」。
単なる味の方向性ではなく、
日本酒の役割そのものを再定義した思想
です。
廃業危機から始まった改革
5代目・新澤巖夫氏は、
蔵の危機を受けて戻ってきたとき、
主力商品は
- 普通酒
- 本醸造
が9割を占めていました。
このままでは生き残れない。
そう考えた新澤氏は、
酒蔵としての“立ち位置”を明確にする必要性
を感じます。
時代の中で見つけたポジション

当時は
- 新潟の淡麗辛口ブーム
- 芳醇旨口の広がり
- 無濾過生酒の登場
と、日本酒の多様化が進んでいました。
その中で新澤醸造店が選んだのは、
「淡麗だけど、新潟とは違う」
というポジション。
・スッキリしている
・軽やかで飲み疲れしない
・料理を引き立てる
この方向性が、
“究極の食中酒”として確立されていきます。
東日本大地震と再建
2011年3月、東日本大震災。
蔵は壊滅的な被害を受けます。
しかし同年、社長に就任した新澤氏は
すぐに再建へと動き出します。
偶然にも、
別の酒蔵が撤退した新設施設を取得し、
川崎蔵として再スタート。
- 建物
- 設備
- タンク
を活用できたことは、
品質とコストの両面で大きな意味を持ちました。
再現性を極めた酒造り

新澤醸造店の酒造りは、
徹底した合理性と再現性
にあります。
酒母は速醸のみ
- 山廃・生酛は採用しない
- 安定した酒質を追求
発酵管理
- 室温7〜8度
- 発酵期間 約27日
年間170本仕込み
- 計画的な生産体制
すべては、
“毎年同じクオリティで届ける”ため
の設計です。
麹と精米に宿る技術力
蒸し器を2種類使用
- 麹米用
- 掛米用
細かな温度管理で理想の蒸し上がりを実現。
製麹設備
- 吟醸用製麹機
- 床製麹
経験値を数値化し、
再現性を高めています。
精米技術

- 自社精米機6台
- 他蔵からの委託も受注
特に、
1%未満の精米技術
は業界でもトップクラス。
さらに
- 球状精米
- 扁平精米
を使い分けることで、
クリアで雑味のない酒質を実現しています。
「あたごのまつ」と「伯楽星」の関係
新澤醸造店の主軸ブランドは
- あたごのまつ
- 伯楽星
の2つです。
違いを一言で言うと、
伯楽星は高級ライン、あたごのまつは基軸ライン
ただし重要なのはここです。
👉 酒造りの思想は完全に同じ
- コンセプト:究極の食中酒
- 酵母:同系統
- スペック差:コンマ1レベル
つまり、
どちらも“同じ思想の酒”
であり、
価格帯や位置づけの違いで分かれているだけです。
山本屋酒商店として伝えたい「あたごのまつ」
当店で取り扱っているのは
「あたごのまつ」です。
この酒の魅力は、
“日常に溶け込む完成度”
にあります。
・軽やかで飲みやすい
・料理を邪魔しない
・飲み飽きしない
そして、
気づけば杯が進んでいる酒
です。
2024年、蒸留酒への挑戦
新澤醸造店は新たに、
クラフトジンの製造もスタート。
地元素材を活かし、
日本酒の技術を応用した新たな挑戦です。
まとめ|“引き算の完成形”
新澤醸造店の酒は、
何かを足す酒ではありません。
削ぎ落とす酒
です。
・香りを抑える
・雑味を排除する
・料理を引き立てる
この思想が、
「あたごのまつ」という形で完成しています。

