赤ワインの作り方を分かりやすく解説

老若男女問わず人気のある赤ワイン。今ではファミリーレストランやコンビニにも売ってあるほどポピュラーなお酒となりました。

 

しかし、気軽に飲めるゆえにこのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「白ワインと赤ワインの違いはなに?」

 

「赤ワインはどうやってつくられるの?」

 

たしかに赤ワインを飲むときに製造工程を考えるなんてこともないですし、白ワインとの違いもなんとなく分かる程度だと思います。

 

そこで今回は白ワインとの違いや赤ワインの製造工程について、お酒を専門とする私たちが詳しく解説していきますね。

 

最後まで読んでいただくことで赤ワインの製造工程について理解することができ、今まで以上に赤ワインを楽しむことができるようになります。

 

赤ワインと白ワインの違い

赤ワインとは黒ブドウを原料とし、皮や果汁、種を一緒に発酵させたお酒です。

 

これに対して、主に白ブドウを使い果汁のみを発酵させて作るお酒が白ワインとなります。

 

赤ワインと白ワインは製造工程にも違いがあり、果汁をワインにするための発酵と果皮を取り除く圧搾という工程が逆になります。

 

だから赤ワインは、果汁に皮や種の成分が一緒に入るので赤ワイン独特の色合いや渋みなどの風味るんですよ。

 

白ワインの詳しい作り方はこちらをご覧ください!

 赤ワインの製造工程

各ワイナリーによって、細かい工程は違いますが、大きな製造法はイラストのようになります。

赤ワイン製造工程

 

ブドウの選別

赤ワイン作り方1

 

まず原料となるブドウを収穫していきます。原料となる黒ブドウは早いものは9月から、遅くとも11月に収穫を行います。

 

収穫方法は手摘みか機械摘みがありますが、多くのブドウを短時間で収穫できる機械摘みに対して、手摘みは時間がかかる一方でブドウを痛めにくいというメリットがあります。

 

収穫したブドウを選別(選果)して傷んでいるものや未成熟なものなどを取り除きます。傷んでいる粒や腐敗している粒、熟していない粒などを取り除きます。

 

そして茎を取り除き粒だけの状態にし、果汁が出やすくなるように少し皮を破り、果汁、果肉、皮や種子などすべて(果帽)をタンクに入れ、ここに酵母を加えます。

 

手作業で収穫する場合は収穫時に傷んでいる粒は出来る限り取り除きますが、醸造所に戻ってからも選別されます。

 

除梗(じょこう)

除梗とは、梗(こう)を取り除くことです。

 

梗(こう)とは葡萄の実が付いている短めで固めの枝・茎のことで、葡萄の実をその枝から取ってバラバラにします。

 

破砕

除梗が終了後は、ブドウの果皮が破ける程度に軽く潰す破砕という作業に移ります。

 

以前は除梗と破砕は別の工程として行われていましたが、除梗機の性能が上がってきたことで、除梗と破砕を同時に行うことができる除梗破砕機が普及しており、現在は同じ工程とするワイナリーが多いです。

 

発酵

赤ワイン作り方2

除梗し破砕した果汁、果肉、果皮、種子などすべて混ざった『果醪(かもろみ)』に酵母を加えると、酵母の働きで果醪内の糖分が分解され、アルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)を発生します。

 

酵母は培養酵母を添加する場合、自然酵母(自然に存在し勝手に発酵する)を使う場合があります。発酵にはステンレスタンク木樽など様々な素材のものがワインにより使用されます。発酵温度は白ワインとは異なり高めで、26度から30度程度です。

 

発酵が始まり3、4日すると、果皮から赤い色素、種子から渋み成分のタンニンが出てきます。これを「醸し(かもし)・マセラシオン」と言います。醸しの長さで熟成タイプ・早飲みタイプなどに造り分けられます。

 

醸し中は発酵でできる二酸化炭素の影響で、果皮・果肉などは果醪の上部に浮かび上がり上部に溜まる(果帽)ので、糖分、酵母、温度の平均化などのため再度沈殿するように、果汁を下から抜き、上から注ぎ入れ循環させます。この作業を「ルモンタージュ」といいます。

ルモンタージュ

 

地方やワイナリーにより、この循環作業を、人力でかき混ぜる櫂入れ(ピジャージュ)で行うところも多く、近年は動力で動くピジャージュ装置の開発もされています。

ピジャージュ

 圧搾

発酵後、果帽の下の部分の果汁(ワイン)を抜き取ります。

 

そして残りの果皮や種子の部分を圧搾します。圧搾とは圧搾機を使ってブドウをプレスし、さらに果汁を絞り出す工程を言います。

 

赤ワインの渋みに影響がありますね。この作業は!

この圧搾ので特に圧力がより強くなった部分はブレンド用やブランデーに使用されます。

 

マロラクティック発酵

マロラクティック発酵とは、乳酸菌の働きによってワインのリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに分解しワインの酸味を和らる発酵法のことです。

 

実は、このリンゴ酸が結構な尖った酸味を感じるので、乳酸を変化させることで味わいをまろやかにさせるテクニックなんですね。

 

また乳酸だけでなく、化合物も生まれることで味わいや香りに複雑さや芳醇さが増し成分も安定します。

熟成

赤ワイン作り方3

 

発酵を終えたワインを、タンクまたは木樽で12年ほど熟成します。これによりワインが落ち着き、成分も整えられていくのです。

 

期間は生産者やワインにより様々ですが、地域によっては熟成期間が決められているものもあります。

 

樽熟成の場合は、空気と接触することで熟成が進み、樽からの成分により香りや風味の複雑性や色調の安定など様々な効果が得られます。

滓引き

発酵を終えたばかりの出来立てワインは滓(おり)で濁っています。

 

役目を終えた酵母や果肉由来の成分(ポリフェノールなど)が沈殿します。その沈殿物(滓)を取り除きます。滓は沈殿するので上澄みを別の容器に移し替えます。この作業を貯蔵・熟成中に何度か行われます。

 

ブレンド

マロラクティック発酵と同じく、全てのワイナリーが行うわけではありませんが、異なる品種のブドウを使ったワインを混ぜ合わせることをブレンドといいます。複雑な味わいを生み出すために行う場合があります。

 

例えば主体で使うブドウに香りや重さが足りない場合は、それを補えるブドウ品種をブレンドすれば、生産者が造りたい味わいやスタイルのワインを造りだせるのです。

 

異なる品種をブレンドすることで味のバランスや品質を維持しているのです。

清澄・濾過

滓引きでは取り除けなかった滓を、清澄剤を使用して取り除くことでクリアなワインになります。

清澄剤にはゼラチンや卵白が使用され、ワインに含まれている微小な固形物をまとめて大きな固形物へと変化させることによって濾過作業の際に取り除きやすくします。

 

さらに濾過して浮遊物や不純物などを取り除きますが、あまり濾過しすぎるとワインのうまみ成分まで失うので、最近では無濾過ワインも多く造られています。

 

瓶詰め

清澄濾過作業が終わると瓶詰め作業に入りますが、ワインは繊細な飲み物で、不純物が入ってしまうと一気に味わいが変化してしまいます。

 

そうならないためにも、ワインを入れる瓶はしっかりと洗浄し乾燥したのちに瓶詰め作業を行わなければなりません。

 

ワインを瓶に注入する際にも、適当に入れるのでなく少しずつ丁寧に入れていきます。ワインを瓶に詰めて、ラベルを貼って完成です。

 

ワインによっては瓶詰めされた後に熟成(瓶熟)させます。

 

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