「ブランデーの原料が果実というのはわかるけど、どんな方法で作られているの?」

「蒸留?熟成?専門用語を詳しく解説してほしい」

 

ブランデーについて知識をつけたいと考えているあなた。こんな疑問をお持ちではないでしょうか。ブランデーは果実を原料とした蒸留酒と知っている方は多くても、製造方法まで熟知している方は少ないのではないでしょうか。

 

今回は世界3大ブランデーと称される

・コニャック

・アルマニャック

・カルヴァドス

のうち、白ブドウを原料としているコニャックとアルマニャックの製造方法について、お酒を専門とする弊社が詳しく解説していきます。

 

本稿を読んでいただくことでブランデーの製造工程を理解することができ、今まで以上にブランデーを楽しむことができるようになりますよ。

 

ブランデーの製造工程

ブランデーとは果実(ブドウ・りんご・プラム・チェリー・すもも・洋梨など)を原料とした蒸留酒です。

 

ブランデーはコニャック、アルマニャック、カルヴァドス、ピスコ、マールなど原料や生産地、製造方法で細かく分類されています。

 

その中でも白ブドウを原料としており、世界3大ブランデーに数えられるコニャックとアルマニャックの製造方法を詳しく解説していきます。

 

ブランデー製造過程

原料の収穫・選定

ブランデー(コニャック・アルマニャック)は、原料とする白ブドウの収穫から始まります。原料には「ユニブラン」という白ブドウの品種が多く使用されており、糖度が低く酸味が強いという特徴があります。

 

「ユニブラン」は世界で2番目に多く作られている品種で、酸味が強いという特徴から白ワインの原料には向いていないため他の品種のワインとブレンドされ、食前酒などのテーブルワインとなることが多いです。

 

基本的にリーズナブルなワインとして販売されているユニブランのワインですが、唯一例外としてブランデー(コニャック・アルマニャック)を作る際には貴重な品種として重宝されています。

 

コニャックの原料として認められている白ブドウの品種は数種類あるのですが、そのうちユニブランが95%を占めているのです。

 

「コロンバール」や「フォルブランシュ」といった品種も使用されていますが、栽培が難しいためこれらを原料としたコニャックは高額で取引されてるのが現状です。

 

ユニブランは1890年以降に植えられた品種であり、カビや疫病に対して強い耐性を持っています。1900年後半にブドウの木を枯らしてしまうほどのフィロキセラというアブラムシの被害がコニャック地方でも猛威を振るっていました。

 

そのフィロキセラにも耐えうるブドウとしてこのユニブランが使われるようになったのです。ユニブランはフランス、イタリア、オーストラリアが主な生産地域で9月〜10月が収穫期となっています。

 

破砕

破砕

 

収穫・選定した白ブドウを果実のみにしていく作業です。

この時に枝や葉が入らないよう細心の注意を払っています。

 

圧搾・搾汁

破砕され果実のみになった白ブドウは収穫後圧搾機を用いて果皮や果汁をつぶさないように圧搾し果汁を搾り出します。

 

発酵

ブランデーを製造するのに使うのは果汁のみです。その他の果汁や種などの搾りかすは使用しません。こうして搾り出された果汁を大樽に入れて発酵させていきます。

 

発酵はイースト菌を加えて発酵させるか、自然発酵をさせるか2つの方法がありますが、どちらの方法で発酵させるのかはメーカーによって異なります。

 

高級なブランデーは基本的に時間と手間がかかる自然発酵によって発酵されています。発酵の過程を経た果汁は白ワインとなります。

 

コニャックやアルマニャックではユニブランという品種のブドウを原料に使用するのですが、糖分が低いため7〜8%の比較的低いアルコール度数の白ワインが出来上がります。

 

こうして出来た白ワインはお世辞にも美味しいとは言えません。ユニブランというブドウの品種は酸味が強く、糖度が低いからです。

 

ですが酸味が強く、糖度が低いというユニブランの特徴こそがブランデーの原料に向いているのです。酸味が多いということは、果汁も酸性になるため雑菌の繁殖を抑制することができます。

 

また、糖度が低くアルコール度数が高くならないのも蒸留の際に大量の白ワインを使用することから、少量のブランデーに香味成分が濃縮されやすくなります。

 

発酵してできた白ワインは次の蒸留という段階に移ります。

 

蒸留・原酒

原料となるブドウの果汁を発酵させ白ワインが作られると、次に蒸留という段階にうつります。蒸留とはアルコール成分を抽出する作業のことで、ブランデーを作る上で非常に重要な行程となります。

 

コニャックとアルマニャックでは蒸留の方法が異なりますので、それぞれ詳しく解説していきます。

 

コニャックは単式蒸留器

コニャックとはフランスのコニャック地方で作られるブランデーをさしており、さまざまな基準をクリアしたブランデーだけがコニャックを名乗ることができます。

 

その基準のうちのひとつが蒸留の方法であり、コニャックでは「ポットスチル(単式蒸留器)」を用いて「単式蒸留」でつくられています。

 

「単式蒸留」とはいったいどのような蒸留方法なのでしょうか。「単式蒸留」は基本的に「初留×3回」「再留×1回」という2段階で行われます。ブランデーの原料となる白ワインは一回の蒸留では不純物が取り除けないからです。

 

また、コニャック蒸留に用いる単式蒸留器は、蒸気熱など間接的に温めるのではなく直火で直接温めるということが義務付けられています。

 

では「初留」と「再留」について解説します。初留という最初の段階である蒸留を行うと、白ワインは「テット」「ブルイ」「クー」という3種類の液体に分かれます。

 

「テット」は蒸留してすぐに出る液体で「クー」は蒸留の最後に出てくる液体です。「ブルイ」はその中間に出る液体で少し白濁しておりアルコール度数は30%ほどになっています。

 

この「ブルイ」を第2段階である再留に使用します。テットとクーは殆どが廃棄されてしまいますが、一部は次の初留に再利用されます。

 

基本的に3回行うと容器がいっぱいになるため、初留は基本的に3回行い、次の段階である「再留」の工程に移ります。

 

「再留」では初留でできたブルイを蒸留し、「テット」「クール」「スゴンド」「クー」4種類の液体に分けていきます。

 

テットとクーは初留の際と同様に廃棄されることが多いです。ただし、メーカーによっては使用されることもあるようです。

 

再留してできた4種類の液体のうちコニャック熟成用の液体として使用されるのは「クール」になります。この時点でクールはアルコール度数が70%ほどまで上がっています。

 

ここまで説明した内容が、コニャックの製造工程で決められている部分ですが、メーカーによって細かい点で違いがあります。

 

アルマニャックは半連続式蒸留器

ブランデーで有名なのはコニャックとアルマニャックですが、この2つの大きな違いは蒸留の方法が違うという点です。

 

コニャックは単式蒸留器を使用した単式蒸留でつくられていますが、アルマニャックは「連続式蒸留器」を使用して「半連続式蒸留」でつくります。

 

この「連続式蒸留器」はコラムスチルやパテントスチルとも呼ばれています。

 

単式蒸留は蒸留の過程が初留と再留に分かれており、ひとつひとつの作業に操作が必要ですが、連続式蒸留器では全ての過程を一度の操作で行えるという点で単式蒸留と違いがあります。

 

簡単に説明すると、連続式蒸留器の中に単式蒸留器がいくつも組み込まれており、作業が止まることなく蒸留することができるというイメージです。

 

基本的に蒸留を重ねることで雑味が無くなりまろやかな味わいになっていくのですが、数回蒸留するコニャックが優しい口当たりなのに対し、蒸留を1回だけゆっくりと時間をかけて行われるアルマニャックは、エッジの効いたワイルドな口当たりに仕上がります。

 

製造方法によって風味や口当たりが全く違うのです。蒸留の方法自体はアルマニャックの半自動蒸留が先に開発されており、コニャックの単式蒸留は半自動蒸留を改良したものといわれています。

 

このあたりの蒸留方法を頭に入れるとブランデーの飲み方に幅が広がると思いませんか。ぐんと家飲みの幅が広がりそうです。

 

貯蔵・熟成

蒸留が終わると貯蔵・熟成の段階に入ります。この時点で液体は無色透明なのですが、この貯蔵・熟成の工程を経てブランデーの特徴となる琥珀色へと変化していきます。

 

また、色だけでなく香りやアルコール度数もこの貯蔵・熟成で変化していきます。ではどのようにして貯蔵・熟成を行うのでしょうか。詳しく解説していきます。

 

ブランデーの貯蔵・熟成は木の樽に蒸留した液体を詰めて、基本的に3年以上熟成させることで完成します。

 

特にブランデーの王様と呼ばれているコニャックでは、木の樽の生産地や作り方についても厳しく定められているんです。

 

この木の樽の材質や温度、湿度によって樽の木材成分が液体に溶け込みブランデーの香りや風味が変化していきます。

 

ブランデーの種類によって違いはありますが、コニャックでは4つの添加物が認められています。

①水
②オークのチップ
③カラメル
④糖

となっています。1つずつ解説します。

番号 種類 用途
蒸留した後のコニャックの原料となる液体は、アルコール度数が非常に高いため水を使って希釈されます。
オークのチップ オークの木片を用いて液体に色味をつけ、樽熟成のタンニンを含んだ味わいにするために使用します。
カラメル 液体に色味をつけるために使用します。
液体に添加できるのは全体の2%までという規定があり、アルコールの刺激を和らげるために使用します。

 

このような添加物や場所、温度など様々な条件が重なることで液体は変化していき、結果としてまろやかな口当たりのブランデーになっていきます。

 

1世紀以上前から伝統的に続いている製法ですが、なぜこのような変化が起こるのか科学的に解明されているわけではありません。

 

熟成という工程は非常に奥が深く、神秘的な部分が多く残されています。

 

調合

熟成後のブランデーは口当たりがまろやかになり、色味は綺麗な琥珀色になっています。ですがブランデーは熟成後そのままの状態で瓶詰めされて販売されるわけではありません。

 

熟成年数の異なるブランデーと調合して出荷されるのです。この工程ではマスターブレンダーという調合のプロが大きな役割を担っています。

 

ブランデーは様々なメーカーから出ていますが、定番品として売り出すためには同じ品質を保つ必要があります。同じ品質の商品を提供し続けるためには調合という工程が重要なのです。

 

コニャックとアルマニャックは熟成年数を示す値に、コントという専用の単位を使います。蒸留した年のコントは「コント00」と数えられ、1年熟成するごとにコントは1ずつ増えていきます。

 

そのコントによってコニャックとアルマニャックのランクは決まるのですが、コントが違うブランデーを調合した際にランクが分からなくなってしまいますよね。

 

ですので、コントの違うブランデーを調合した際は一番若いコントのブランデーのランクが適用されるという決まりがあります。

 

後熟

調合されたブランデーはもう一度樽に詰めて熟成することもあり、そのことを後熟といいます。

 

メーカーや、ブランデーの種類によって後熟するかしないかは異なりますが、後熟をすることで調合されたブランデーの味がまとまっていくといわれています。 

 

瓶詰め

調合が終わったブランデーは瓶詰めを行い、出荷されていきます。瓶詰め方法はメーカーによって異なりますが、手作業で瓶詰めするメーカーもありますし、大手メーカーでは機械が瓶詰め作業を行っています。

 

よく瓶詰めされたあとも熟成はされているのかという意見がありますが、正確には解明されていません。

 

熟成するのはあくまでも樽に入っている状態の時で、瓶詰めされた後のブランデーで熟成が進むことはないという意見や、反対意見として瓶詰めされたブランデーは樽での熟成とは違ったまろやかな味わいになるという声もあります。

 

まとめ

本稿ではブランデーの作り方について、製造工程を順を追って詳しく解説しました。

 

ブランデー(コニャック・アルマニャック)は100年以上前から伝統的に作られているにもかかわらず、熟成については未だ科学的に解明されていない未知の分野です。

 

また、製造方法は厳しく定められているものの、各メーカーで製造方法に違いがあり、それによって生まれる味わいや風味の違いを楽しむことができるのもブランデーの魅力のひとつであると言えます。

 

あなたがブランデーを楽しむ時間が、本稿を読んでいただいたことで、より深く楽しむことができれば幸いです。

 

 

Twitterでフォローしよう