ビールの作り方

 

ゴクゴク、と喉を鳴らしながら1日の終わりに飲むビールは、冷たくて美味しいもの。今日も1日頑張った!という気持ちで、自分自身にご褒美をあげたくなりますよね。

 

そんな贅沢な大人の飲み物であるビールが、どのように造られているのか知っていますか?今回は、ビールの造り方を徹底解説!今まで知らなかったビールの世界を覗いてみましょう。

 

ビールの造り方を知ると、これまで知らなかったビールの奥深さに感激してしまうかも。いつものビールがもっと美味しくなっちゃうこと間違いなし!

 

ビールの製造工程

美味しいビールは、まず麦を発芽させて「麦芽」を作ることから始まります。この工程を「製麦」といい、デンプンやタンパク質を分解する酵素を作り出します。

 

その後、麦汁を作る「仕込み」、ビール特有のアルコールと炭酸ガスを作る「発酵」、出来上がったビールの味わいを特徴づける「熟成」、濁ったビールから固形物を除去する「濾過」の工程を経て、私たちのもとに届くために「瓶詰め」をされて、完成です。

 

ビール製造工程

 

製麦(せいばく)

ビールを造る上で欠かせないのは、まず「製麦」。発芽していない状態の麦を発芽させ、麦芽を作り出します。

 

デンプンやタンパク質を分解する酵素が生成されたり、大麦の成分を分解しやすい状態にしたりする工程です。この過程により、ビールの色や香りの特徴が生まれます。世の中のビールたちは、この工程によって特徴が左右されているのですね。

 

「製麦」は、大きく3つの工程に分けられます。まず、大麦を水の中に浸漬する「浸麦」、大麦の発芽を促進する「発芽」、そしてビールの色や香りの成分を作る「焙燥」。これらの工程を経て、美味しいビールが完成するのです。

 

浸漬の工程

「製麦」の工程の1つ目は、収穫した大麦を水の中に浸す「浸麦」から。収穫したばかりの大麦は、まだ発芽してない休眠状態。水中に浸漬することで、大麦の発芽をうながし、生育に必要な水分を大麦に吸収させる働きをします。

 

浸漬している間も大麦は呼吸をしているので、酸素を与えるために水の入れ替えを行います。これにより、大麦に含まれている苦み成分が溶け出し、さらに粒についているホコリも洗い流され、発芽の準備が整っていくのです。

 

通常の場合、この工程は水温約15℃で2日間ほど行われます。

 

発芽の工程

発芽

 

「浸麦」の工程を終えると、次は「発芽」の工程へと移ります。

 

水に浸漬されて水を多く含んだ大麦は、まずは発芽室に送られます。その後、15℃前後に保たれるように冷風を送られ、定期的に大麦を混ぜながら、発芽を促していきます。

 

発芽をし始めると、大麦はデンプンやタンパク質を分解。この工程により、硬い大麦も指で潰せるくらいに柔らかくなり、ビールに合った麦芽へと変化していくのです。

 

焙燥の工程(ばいそう)

「発芽」の工程を経た大麦は、次に「焙燥」の工程に入ります。

 

「焙燥」とは、発芽した大麦を長期保存するために熱風で乾燥させること。それだけでなく、ビールの色や香りの成分を作る働きも果たします。

 

約50℃から徐々に温度を上げていき、約80℃を超えたところで熱風はストップ。芳ばしく仕上がった大麦は、雑菌が繁殖できないくらいに乾いているため、長期保存が可能になります。

 

焙燥が終わると、大麦から苦み成分の素である伸びた根っこを取り除いていけば、「焙燥」作業は終了となり、次の工程へ移ります。

 

焙燥と焙煎の違い

よく間違えやすいのが、「焙燥」と「焙煎」の違い。言葉も似ているため、ややこしいですよね。

 

「焙煎」とは、別名ローストとも呼ばれており、麦芽に風味や色合いを加えるために行う工程です。ローストされた麦芽は濃色麦芽となり、麦芽に芳ばしさをプラスします。

 

一般的な麦芽である「淡色麦芽」と合わせて使うことで、チョコレートやコーヒーのような風味や見た目のビールを作り出せるのです。

 

仕込み

「製麦」された大麦は、次の工程に移ります。

 

ビールの原料となる麦芽やホップ、オレンジピールや果実などでビールの味を変化させる副原料を使用して、糖やアミノ酸を含んだ麦汁を作っていきます。この作業が「仕込み」と呼ばれる工程です。

 

「仕込み」は、大きく5つの工程に分けられます。原料である麦芽を細かくする「粉砕」、ビールの素となる麦汁を作る「もろみづくり」、デンプンを糖化させる「糖化」、濁ったビールを透き通った状態にする「濾過」、そして最後にビールの味わいをさらに向上させるホップを添加する「煮沸」

 

これらの工程を経て、ビールが少しずつ完成していきます。ビールの歴史を感じますよね。それでは、ビールの「仕込み」の世界を一つひとつ見ていきましょう。

 

粉砕の工程

「仕込み」の工程でまず行われるのは、原料である麦芽を細かくする「粉砕」という工程です。

 

麦芽を細かくすることで、デンプンが糖化しやすくなります。ただし、ここで細かくし過ぎると濾過しにくくなるので注意が必要。また、穀皮と呼ばれる大麦の表面には、タンニンなどの苦味をもたらす成分が多く含まれているため、細かくし過ぎると麦汁に成分が溶け出してしまいます。

 

それを防ぐためにも、細かくなりすぎないように工夫して粉砕されていきます。

 

もろみづくりの工程

粉砕された大麦は、温水と一緒に仕込樽に投入され「マイシェ」と呼ばれるおかゆのような状態になります。

 

攪拌(かくはん)しながら適当な温度に保つことで、徐々におかゆ状に変化していき、このマイシェを温めて麦汁を作っていきます。

 

糖化の工程

マイシェの状態のとき、麦芽に含まれるデンプンを酵素によって「糖」に分解します。この工程を「糖化」と呼び、同時にタンパク質も旨み成分であるアミノ酸に分解されます。

 

麦芽を糖化させる最も適した温度は、約65℃。この温度を維持していくと、デンプンが糖に分解される糖化が進みます。糖化されたマイシェは、おかゆ状から透き通った色に変化していき、どんどんサラサラな状態に。

 

濾過の工程

出来上がったマイシェは、大きなザルのような濾過装置で固形物を取り除くために濾過されます。濾過する前のマイシェには、大麦の表面である穀皮や麦芽の粒など多くの固形物が含まれており、それらを取り除いてより透き通った「麦汁」を作り出していきます。

 

このとき、最初に絞り出された麦汁のことを「第一麦汁」と呼び、スッキリとしていて渋みがなく、とても飲みやすく仕上がっています。第一麦汁だけを使用した代表的な銘柄として、キリンビールの「一番搾り」がよく知られていますよね。

 

さらにこの後、残ったマイシェにお湯をかけて「第二麦汁」を作り出します。多くのビールはこの第二麦汁も使用して、ビールの旨味やコクを加えていくのです。

 

煮沸の工程

マイシェを濾過して抽出した麦汁は、煮沸釜に移され、ビールの苦味や香りを特徴づける「ホップ」を添加して煮沸を行います。ホップを加えて煮沸することで、ホップの苦みや香りを麦汁に付加させたり、泡立ちをよくしたりという働きをします。

 

さらに、加熱によりタンパク質が凝集してだんだんと透き通った麦汁に変化していきます。ここまでくると、ビール特有の色がつき、よく飲むビールと変わりませんね。他にも煮沸により、好ましくない香りを飛ばしたり、麦汁を殺菌したりという効果が期待できます。

 

発酵

「仕込み」作業で、麦芽に含まれるデンプンを糖に分解する「糖化」を行いました。さらに、この糖を酵母が分解し、ビール特有のアルコールと炭酸ガスを作り出す工程が「発酵」です。発酵を行う際は、他の菌を侵入させてはいけません。

 

それほど「発酵」はとても繊細な作業のため、注意をしながら行う必要があります。

 

「発酵」では、まず冷却機によって麦汁を発酵に適した温度まで冷やします。発酵方法は主に2種類あり、低温で約10℃前後の「下面発酵(ラガー)」と高温で約15〜25℃前後の「上面発酵(エール」に分けられます。

 

ビアスタイルによって発酵温度に違いがあり、この作業で味わいに変化が生まれます。このとき、適温となった麦汁に酵母を加え、同時に酸素を配給することで、酵母が増殖して発酵が進みます。

 

約1週間程度でアルコールと炭酸ガスが作り出され、私たちが飲むビールに近づいた「若ビール」と呼ばれる状態になります。この若ビールは、まだ味わいにコクや深みがなく、ビールと呼ぶにはまだまだ。

 

この後の工程である「熟成」することで、私たちが飲むビールになっていきます。

 

熟成

出来上がった若ビールは、貯酒タンクへ移され、数日間「熟成」されます。熟成中も、残った糖分などの熟成が進むため、後発酵と呼ばれます。

 

若ビールの中には、ビールにとって好ましくないにおいが残っており、このにおいを取り除くためにも「熟成」は大事な工程です。熟成することで、においの成分が別の物質に変換され、美味しいビールになっていくのです。

 

また、発酵が進むと、炭酸ガスが発生します。ビールの特徴であるのどごしや爽快感を作り出す発泡性は、このとき誕生するのですね。

 

濾過・熱処理

熟成されたビールは、不純物や固形物を取り除くために熱処理や濾過され、透き通った状態になります。ビールの中の酵母が生きたままだと、製品化されても発酵が進んでしまいます。

 

そこで、熱処理か濾過をすることで、酵母を死滅させ、ビールの味わいを保つのです。みなさんご存知の通り、熱処理をしないビールが「生ビール」と呼ばれています。最近では、あえて濾過をしない「無濾過ビール」が登場しています。

 

酵母が生きたままの無濾過ビールは、一般的なビールにはないコクやフルーティーさが生まれ、独特な味わいを楽しめるでしょう。

 

瓶詰め

いよいよ、ビール造りも大詰めを迎えます。

 

完成したビールは、缶や瓶、樽などそれぞれの容器に詰められ、出荷されます。工場から私たち消費者の元へ届くまで、美味しい状態を保つためにしっかりと密封。

 

酸素に触れてビールの品質が落ちないように、密封することで美味しさを維持しているのです。私たちが普段手にするビールは、こうした工程を経て、製造されているのですね。

 

まとめ

私たちが普段口にするビールは、製麦や仕込み、発酵、熟成、濾過、瓶詰めという長い工程を経て、造られます。今まで知らなかったビールの世界を覗くことで、これまで以上に美味しいビールの飲み方が増えるかもしれませんね。

 

スーパーやコンビニでビールを見かけた際には、ぜひ手に取ってみてその深い味わいを楽しんでみてください。きっと、もっとビールが好きになるでしょう。

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