八戸酒類株式会社は、青森県の奥州街道の宿場町・五戸町にある蔵で、昭和19年の戦時企業統制令により近隣の5つの蔵元が集まって設立されました。平成19年には八戸酒類株式会社五戸工場と改名し、新銘柄「如空」を立ち上げました。

この蔵は、3つの蔵井戸から湧き出る清冽な水を使用し、青森県産の酒造好適米を用いて、10号酵母にこだわった酒造りを行っています。冬の厳しい寒さの中、南部杜氏の伝統の技と五感を駆使し、軟水仕込みならではの柔らかな口当たりの良さが際立つ良酒を生み出しています。

五戸町はなだらかな丘陵地と北東風(山背)の冷風によって寒暖の差が大きく、果樹園や畑に適した土地柄です。特筆すべきは、蔵の横を流れる五戸川と底をひとつにし、その源を十和田湖の外輪山である名峰戸来岳に持つ3つの蔵井戸から湧き出る清冽な水です。この水は酒造りに最適で、冬期は県内でも有数の厳寒地帯であるため、寒造りには最適な場所です。

八戸酒類の杜氏は、日本三大杜氏の一つとして有名な南部杜氏の資格と実績を持つ上井裕文氏です。平成10年に八戸酒類に入社した上井氏は、酒造りに憧れを持ってこの世界に入りました。蒸米の香り、モロミの発酵音、手造りの技、搾りたての酒の味すべてが新鮮で、彼にとっては非常に楽しい世界であり、探し求めていたものを見つけた瞬間だったと語ります。

会社の複数の蔵で水・環境・酒質の異なる造りを経験したことは、彼の成長にとって大きな糧となりました。2013年には南部杜氏協会の杜氏資格を取得し、八戸酒類の杜氏としての責任を感じながらも、これまでの経験を活かして「八鶴」や「如空」の味と手造りの技術を守りつつ、豊かな青森県の食材や料理に合う、しっかりとした米の旨みと心地よい余韻が感じられるお酒を造り続けています。

八戸酒類は、自慢の湧き水と青森県の酒造好適米「華想い」「華吹雪」を中心に使用し、南部流儀の低温長期発酵と五感で醸す手造りで丁寧な造りを行っています。このようにして厳しい自然環境を巧みに生かし、伝統の技と勘を融合させた「如空」の味わいが生み出されています。

上井杜氏は、自身の経験を活かし、先人たちによって培われた「八鶴」「如空」の味と手造りの技術を守りながら、青森県の豊かな食材や料理に負けない酒を造り続けることに情熱を注いでいます。これが造り手としての何よりの喜びであり、その精神が八戸酒類の酒に込められています。

近年の受賞歴

2023年
      
全国新酒鑑評会にて入賞。南部杜氏自醸酒鑑評会では、2部門・優等賞。IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)ではりんごぽむぽむがブロンズメダルを受賞
2022年
   
全国新酒鑑評会にて金賞を受賞。青森県産清酒鑑評会では青森県産米部門純米酒の部青森県産業技術センター理事長賞を受賞。

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