みなさん、お酒が発酵してできていることはご存じですよね。でも、その発酵がお酒によって違いがあるって知っていますか?
この記事では、3つの発酵の種類についてご説明します。とくにアルコール発酵の秘密は、醸造酒の作り方に大きなウエイトが占められていることになります。ぜひ、この機会に3つの発酵法の違いを覚えてくださいね。
発酵とは
発酵の仕組み
発酵とは微生物によって有機物を分解し、別の物質に変化することをいいます。微生物によって全然違うものに変化することとは、次のような食品があります。
- 大豆→味噌とか醤油
- 牛乳→ヨーグルトやチーズ
- 米→日本酒、葡萄→ワイン など
日本酒の場合、お米のデンプンを麹の酵素が糖に分解し、その糖を食べた酵母が、アルコールと炭酸ガスを排出(発生)し、日本酒へと変化させてくれるのです。
発酵と腐敗、熟成の違い
発酵と腐敗は同じメカニズムで仕組みに違いはありません。どちらも微生物により有機物を分解して物質をつくりだします。
その微生物によって作り出された物質が『有益』なら発酵、『有害』なら腐敗、それだけの違いなのです。
この視点は各国の文化を見比べると捉え方の違いが理解できるでしょう。たとえば、納豆は日本人にとって『有益』になりますので発酵になります。しかし、外国人にとっては『有害』と感じるので腐敗と捉える場合があるのです。
一方で、熟成はメカニズムがまったく違います。自らの酵素と温度や湿度などの外的環境により、時間をかけてゆっくりと化学変化が起こさせることです。つまり、熟成には微生物は関与しません。
3種類のアルコール発酵法
醸造酒を作るためのアルコール発酵には3つの方法があります。
- ワインは「単発酵」
- ビールは「単行複発酵」
- 日本酒は「並行複発酵」
この3つの醸造酒をベースに蒸留酒や混成酒が作られています。ものすごく大切で特徴がありますので、それぞれについて詳しくお話ししましょう。
単発酵とは
単発酵とは、糖分を多く含む原料に酵母を加え、酵母により糖分をアルコールに分解することです。糖分を多く含む果実などを原料に使い発酵させるので、次の単行複発酵のようにデンプンを糖化するという作業は必要がありません。
原料が甘い果物の場合、糖分が十分あるので酵母はモリモリ糖を食べて、モリモリとアルコールと炭酸ガスを排出(発生)してくれます。
単発酵は発酵が単純なので、原料の品質が味にそのまま反映されるのです。単発酵でもっともポピュラーなのが、葡萄から造られる「ワイン」です。あとは果実酒や蜂蜜酒など。
単行複発酵
単行複発酵とは、原料に含まれるデンプンを糖分に糖化(分解)させ、そのあと酵母を加えてアルコール発酵させることです。『糖化』と『発酵』2つの工程があるのが特徴です。
まずはしっかり原料のデンプンを糖分に糖化させる。そのあと酵母を投入して発酵させる。という「2つの工程」を経て、アルコールと炭酸ガスが発生するのです。残念ながらデンプンではアルコール発酵をしてくれません。だから、このような2つの工程が必要になります。
単行複発酵の代表格は「ビール」で、穀物を原料に使うお酒によく用いられます。
ビールは麦から造られますが、麦の糖分はそのままでは発酵させるには少なすぎるので、まず麦のデンプンを麦芽の酵素で糖に糖化させて、その麦汁に酵母を加えて発酵させるのです。
並行複発酵
並行複発酵とは、単行複発酵と同じで『糖化』と『発酵』2つの工程が必要なのですが、単行複発酵との大きな違いは『糖化』と『発酵』2つの工程を1つのタンクで同時に行うところです。
並行複発酵の代表格は「日本酒」です。
まずは原料のお米の主成分であるデンプンを麹の酵素により糖化し、その糖を酵母がアルコールに発酵する。その工程が1つのタンクの中で同時に並行して行われているのです。だから並行複発酵。
まとめ
発酵とは微生物によって有機物を分解し、別の物質に変化することをいいます。発酵と腐敗は同じメカニズムで仕組みに違いはありません。どちらも微生物により有機物を分解して物質をつくりだします。その微生物によって作り出された物質が『有益』なら発酵、『有害』なら腐敗、それだけの違いなのです。
熟成はメカニズムが全く違います。自らの酵素と温度や湿度などの外的環境により、時間をかけてゆっくりと化学変化が起こさせることです。熟成に微生物は関与しません。
醸造酒のアルコール発酵には3種類の方法があります。
- 単発酵とは、酵母による1つの工程です。
糖分 + 酵母 = アルコール発酵 - 単行複発酵とは、糖化と発酵の2つの工程があります。
デンプン → 糖化 + 酵母 = アルコール発酵 - 並行複発酵とは、糖化と発酵の2つの工程を1つのタンクで同時に行うところです。
デンプン → 糖化
糖分 + 酵母 = アルコール発酵