シングルモルト 嘉之助　嘉之助蒸留所　(ウイスキー)

【鹿児島が育む蒸留の物語】
美しい夕日を望める鹿児島・日置に位置する嘉之助蒸留所は、東シナ海に面した日本の誇るクラフト蒸留所です。薩摩半島西海岸の風光明媚な土地に佇み、目の前には雄大な東シナ海、背後には矢筈岳や諸正岳といった小高い丘陵地帯が広がります。この地は東市来温泉や吹上温泉など古くからの温泉地があることからも分かるように、美しく清冽な水資源に恵まれた特別なエリアです。蒸留所が立つ吹上浜は、遠州大砂丘、鳥取砂丘と並ぶ「日本三大砂丘」の一つで、南北約47kmにも及ぶ壮大な砂浜地帯。その名は、季節風で砂が吹き上げられることに由来しています。夏は暑く、冬は厳しい寒さと吹き荒れる北西風が特徴的な寒暖差のある土地柄。この独特な風土のなか、海からの細かな飛沫が真白な霧となって蒸留所を包み込み、嘉之助ウイスキーに特別な個性を与えています。

【焼酎造りの知恵が結実した珠玉の一本】

シングルモルト 嘉之助は、焼酎造りの伝統技術を活かして生み出されたKANOSUKEのフラッグシップとなるシングルモルト・ジャパニーズウイスキーです。伝統的なスコッチ製法の基本を尊重しながらも、長年培ってきた日本の焼酎文化の知恵を取り入れた革新的なアプローチにより、唯一無二の個性を持つウイスキーとして誕生しました。48%のアルコール度数に調整された洗練された味わいは、日本の繊細な「和」の精神と、ウイスキーづくりの技術が見事に融合した証です。樽貯蔵焼酎「メローコヅル」で使用されたアメリカン・ホワイトオークのリチャー樽をキーモルトに使用するという独創的な手法は、従来のウイスキー製法に新たな地平を開く挑戦であり、世界のウイスキーシーンに鹿児島から新風を吹き込んでいます。

【海と大地の恵み、焼酎文化が織りなす芳醇な風味】

シングルモルト 嘉之助は、三宅製作所製の3基のポットスチル（初留釜6,000L / 再留釜3,000L、1,600L）を駆使して造り分けられた原酒を、アメリカンホワイトオークの焼酎リチャー樽をキーに複数樽をヴァッティングすることで生み出されます。ノンピート麦芽とピート麦芽の絶妙なバランスと独自のディスティラリー酵母が、淡いべっこう色の液体に複雑で奥行きのある風味をもたらします。香りには、はちみつ、バナナ、レモンティー、キャラメルといった甘く爽やかな要素が広がります。口に含むと、かりん飴、ニッキ、生姜、ほのかなスモークナッツといった和のスパイシーさが感じられ、焼酎リチャー樽によって生み出された甘やかな「和」のニュアンスと、潮風がもたらすほのかな塩味が絶妙に調和します。余韻には上品な甘苦さが穏やかに続き、まさに南国鹿児島の風土が育んだ円熟の甘さが広がるメローなウイスキーの真髄を体現しています。蒸留と熟成の技術、吹上浜からの潮風、南国の豊かな自然環境が融合することで、嘉之助蒸留所ならではの優雅さと上品さを持つ芳醇な味わいがここに結実しました。厳密に温度管理された貯蔵庫で旅立ちの時を待つ一滴一滴に、日本のクラフトスピリッツの新たな可能性が息づいています。