栽培について
直轄農場の鶴沼ワイナリーはすべて垣根仕立て、過去シングル短鞘が主流であったが、近年のつる割れ病対策で、長鞘剪定も取り入れ始めている。畝間2.3m、株間1.7m。2005年秋に導入された日本で唯一のグレープハーベスター(葡萄収穫機)はフランス製。50人分の作業量をこなし、夜間収穫も可能、アタッチメントをつけると夏のリーフカッターや冬の剪定作業にも活躍。契約農家でも広い土地を少人数でフォローするべく総じて機械化が進んでいる。
畑について
【鶴沼ワイナリー】標高80~130m、粘土質な土地、暗渠排水。札幌から旭川迄の行政区域「空知(そらち)」に位置する。余市に比べ寒暖の差が激しく、山の麓と中腹だけでも温度差が大きい為、その土地の特性に合った品種を選定、さらに樹齢に合った肥料のやり方を行っている。【契約農家】余市のワイン用葡萄の栽培農家の半数は当ワイナリーと契約、全生産量のワインの内75%は北海道の契約農家の葡萄が使用されている。
醸造について
重力を利用して果汁やワインを移動させたり、雪や地下水を利用してタンクを冷却するなど、地球に優しい構造となっている。発酵・貯蔵タンクは約300本、内100本は2万Lの内容量であり、電気で賄うと莫大なエネルギーが必要。工場の半分は地下に埋まっており、寒冷な気候をそのまま活用することでアロマティックなワインを造りだす低温発酵や低温貯蔵を可能にしている。
北海道ワイン(日本)
国内産のみを原料とする日本最大のワイナリー。毎年2000トンを超える葡萄を仕込み、200万本を超えるワインを作る。最盛期には小規模ワイナリーの年間総生産量にも匹敵する100トンの葡萄を一日で仕込む。長年、北海道の地に適合した品種を模索しており、鶴沼では今も70品種に及ぶ葡萄が試験的に植えられている。この土地ならではの特徴的な樹の植え方として①斜め植え(冬に雪の重さで折れないよう、またかまくらと同じ効果で凍結を防ぐような工夫)、②番号管理(広大な土地を責任管理、事故防止)などが実施されている。
「日本のヨーロッパ」と呼ばれるほど、湿気が少なく爽やかな気候は、欧州系葡萄の栽培に適しており、梅雨と台風の来ない夏乾燥性の気候は葡萄の開花時期と収穫前の水分過多を防ぎ、広大な畑ならではの機械を活用する垣根仕立てを可能とする。また、涼しい風は酸が抜けることを防ぎ、高緯度ならではの夏の長い日照時間が葡萄を完熟させる。
生産者から一言
北海道の自然と、大切に育てられた葡萄や果実を、愛情を込めてありのままに「ワイン」にする。
私たち北海道ワインとそのファミリーは、すべての基本は「風土」と「自然」にあり、その四季折々のうつろいを自然体で生きることから始まると考えています。自然のなかで生きる喜び、作物を育てる喜び、そしてその作物を味わう喜び…。このシンプルなライフスタイルにこそ、自然と私たちの共存の姿があるのではないでしょうか。私たち北海道ワインは、当初からこうした考えを基本コンセプトとし、日々実践しております。
ワインは土壌を含めた自然と葡萄だけで造り、「時間」がおいしさと、かけがえのない価値を生み出してくれます。
難しいと言われていた北海道でのワイン造り。それは確かに大きな挑戦でもありました。 しかし、自然とともに生きるという考えから、私たちは北海道産の葡萄だけでワインを造ることができました。心の底から納得のいくワインを造るために、私たち北海道ワインの挑戦はこれからも続いていきます。