大量生産とは一線を画す、土地の個性を表現したワイン
「私たちの目標は完全な状態で品種、テロワール、土地(ファルツ)、そしてフォン・ウィニングというワイナリーの個性を表現すること。それはつまり、グラスに注いだ瞬間から楽しんでいただけるワインです」 テロワールを重視する姿勢は、「自然を尊重しできるだけ寄り添って働く」、というレオポルト・フォン・ウィニング氏の信念に由来します。レオポルトが残した遺産は、今も変わることなく、ワイナリーに受け継がれ、ステファン・アトマン氏の指揮のもと、若く高いモチベーションを持ったチームの品質への追求と、オーナーの資金投資により、フォン・ウィニングは高品質ドイツワインの担い手であり続けています。 約10ヘクタールのグローセ・ラーゲ(=仏のグラン・クリュに相当)を含む畑は環境に配慮したきめ細かな手入れが行き届いており、アロマ豊かで完璧なブドウを収穫することができます。ワイナリーにおけるプレミアムワイン造りの鍵は、天然酵母醗酵(一部)や自然の清澄作用を促した方法を採用することで、「人間の介入をできるだけ最小限にとどめる」こと。それにより大量生産とは一線を置いた土地の個性を表現する、エレガントなワインを生み出します。
偉大なワインは畑で造られる
「偉大なワインは畑で作られる」という信念のもと、栽培責任者ヨアヒム・ヤレイ氏率いる才能豊かなチームはエネルギーに溢れ、勤勉で、畑の潜在能力を最大限に引き出すための革新的努力を惜しみません。ワイナリーでは一部、契約畑のブドウも使用していますが、その管理もヤレイ氏が責任をもって行っています。ほとんどの契約畑は自社畑の近くにあり、彼らはもともとワイナリーで見習いをしていた人たちなので、同じ哲学を共有することができるのです。 「土地の力を信じ、生態系を脅かすことなく、むしろサポートする」。 これが彼らが畑に向き合う姿勢で。合成肥料や除草剤は一切使用しない自然を尊重した農法を採用していますが、有機栽培の認証には関心がありません。それはワイナリーの方針の一つに、畑でもセラーでも銅を使わないという信念があるからです。例えば、有機栽培の認証を取ってしまうと、灰色カビ病が発生した場合に、銅で対抗するしか手段がなくなります。しかし、銅は土壌に蓄積され土壌の微生物にとって有害になります。銅はまた、ワイン特有のアロマ、火打石のような香りや良い意味での還元香を破壊してしまい、土地の個性を表現することができません。
ワインの純粋な魅力を引き出す最小限の介入
ファルツの偉大な醸造家、ハンス・ギュンター・シュヴァルツ氏がかつて「偉大なワインには完璧なブドウとセラーにおける適度な ”放任” が必要である」、と話したように、 ワイナリーでは“ワインの構造を一切変えないための細心の注意と最小の介入”を理念に掲げ、醸造に携わります。「伝統的な醸造方法と最新のセラーの融合」こそが、ワイナリーの目標なのです。 例えば、ブドウの重みで自然に圧搾をする、重力を利用した構造を持つセラー内、適量の自然酵母を利用した自発的な醗酵など、セラー内における醸造過程は一貫して「最小の干渉」の理念のもと瓶詰めまで運ばれています。 セラーでの作業は品質向上を常に求めるワイン造りの、”終わりなき旅”なのです。