塩田酒造が挑む初めての米焼酎
塩田酒造さんは、いままで芋焼酎の一銘柄だけを作る焼酎蔵でした。ところが、2021年の秋に初めて米焼酎を造ることになります。あとで、詳しい経緯をお伝えしますが、この一銘柄主義にこだわっていた焼酎の蔵元からすれば、大変大きな決断だったと思います。塩田さん自身もいろいろと悩み、試行錯誤の中での作業だったと言っています。私も蒸留工程に立ち会いましたが、蔵元や、私のお得意先の飲食店様と3者で、蒸留したての焼酎をテイスティングしながら味を調える作業を共有できたのは、非常に今後の経験にも役立つ時間でした。5分たてば、味わいが変わってくるんですね。面白い!
きっかけは、原料の芋の不作
なぜ、米焼酎を造ったのか?実は、その季節は、通常の芋焼酎を造る予定でした。ところが2021年は鹿児島全般で基腐病(もとぐされびょう)の被害が大きかったのです。さつまいもの不作で県内の出荷量は例年の半分以下だったといわれています。つまり原料の芋が入荷しなかったということです。造りたいけどさつまいもがない状態です。でも麴用に仕入れたタイ米は通常の量を仕入れていたということです。本来なら、翌年にそのタイ米を使うことも考えられます。米は保存が効きますから。そこで塩田さんは一つの決断をします。それが、タイ米で米焼酎を造ってみよう!ということでした。
「転禍為福」(わざわいてんじてふくとなす)
新型コロナウイルス感染拡大の影響の為、飲食店の酒類制限などお酒への縛りで大変苦しい時に、塩田さんは「転禍為福」(わざわいてんじてふくとなす)と思い新しいことにチャレンジされました。その思いを込めてラベルには転禍為福の四文字が刻まれています。