若潮酒造01

地域に根ざした若潮酒造の50年

1968年、地域の蔵元5社が力を合わせ誕生した若潮酒造は、「志あふれる[志布志]の焼酎メーカー」として、半世紀以上にわたり地域に寄り添った酒造りを続けています。

協業という珍しい形態で設立された同社は、「地域の日常酒を造り続けること」を誇りと責任として捉え、年々より良い酒造りに挑戦し続けています。

特に毎年10月に開催される新酒イベントは、蔵全体を使った地域の一大行事として定着。近隣飲食店の出店やステージイベント、ゲームなどで賑わう中、新酒の振る舞い酒が振舞われる様子は、地域と蔵の強い絆を象徴しています。

創業以来大切にしてきた「地域の日常を豊かにする」という理念は、現在も脈々と受け継がれ、地域住民に愛される蔵として確固たる地位を築いています。

二つの蔵の伝統と革新の融合

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若潮酒造は、「志燦蔵(しさんくら)」と「千刻蔵」という二つの特色ある蔵を持っています。

志燦蔵では「さつま若潮」シリーズをはじめとした焼酎を生産し、1日20~30トンものサツマイモを仕込める大型設備を保有。鑑評会での入賞率はトップクラスを誇り、安定した高品質な焼酎造りを実現しています。

一方、2003年に誕生した千刻蔵は、志燦蔵の約1/30という小規模な仕込みで、「千亀女」をはじめとした木樽蒸留器による焼酎を製造。

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「しっかりと時を刻みながら酒造りに向き合う」というコンセプトのもと、伝統的な製法を守りながらも新しい挑戦を続けています。

特筆すべきは、江戸時代後期から大正時代に主流だった日本独自の木樽蒸留器を継承していること。製作を手がけるのは日本唯一の木樽蒸留器職人・津留安郎氏で、樹齢80年以上の杉の木を使用し、釘を一切使わず竹の帯だけで組み上げるという伝統技術を駆使しています。

この蒸留器で造られる焼酎は、ほのかな杉の香りと豊かな旨味が特徴で、他では味わえない独特の風味を持っています。

革新的商品開発、時代を読む感性

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若潮酒造の強みは、伝統を大切にしながらも、時代に合わせた革新的な商品開発に意欲的な点です。2018年にスタートした「GLOW」シリーズは、「この焼酎の中身は何だろう」という遊び心に満ちたコンセプトで全国的な人気を博しました。

毎年異なる特徴的な香りを持つ焼酎を生み出し、製造部門が特に力を入れるプロジェクトとなっています。

また、コロナ禍という困難な時期には、地元の志布志、串間、都城の飲食店を応援する「一日」シリーズを誕生させました。

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「ゆっくり一歩ずつ」という思いを込めたこのシリーズは、その後「跳ねる一日」「躍る一日」「笑う一日」と拡大し、全国販売へと発展。

これらの斬新なラベルデザインは、営業部課長の下平氏がiPadで手がけたという点も、蔵の柔軟な発想力を表しています。

千刻蔵では、木樽蒸留器の特性を活かした世界唯一の木樽蒸留ジン「424GIN」も製造されており、伝統技術と現代のクラフトスピリッツを融合させた先進的な取り組みも行われています。

匠の技と自給自足の精神

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若潮酒造の製造現場には、建築出身者や電気モーター関連の勤務経験者など、多様な技術背景を持つ蔵人が在籍しています。

彼らの経験は蔵のあらゆる場所に活かされており、機械のオーバーホールも自前で行うという自給自足の精神が根付いています。

蔵の横には工具置き場や部品置き場が設けられ、製造機械の部品やパーツが所狭しと並んでいる光景からは、専門業者に依頼せず自らの手でメンテナンスを行う姿勢が伺えます。

また、1本あたり37万リットルという巨大な原酒タンクは、1800ml瓶で25度に換算すると30万本以上の製造能力を持つ規模を誇っています。

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さらに、スピリッツ造りに欠かせない果物として、蔵の敷地内で甘夏などを栽培しているという取り組みも、原料へのこだわりと自給自足の姿勢を示しています。

このように若潮酒造は、地域に根ざした協業精神、伝統と革新のバランス、時代を読む商品開発力、そして匠の技と自給自足の精神を併せ持つ、独自の個性を放つ焼酎蔵として、これからも焼酎の新たな可能性を追求し続けていくことでしょう。

若潮酒造の会社概要

会社名若潮酒造株式会社
代表者下戸 誠司
代表銘柄さつま若潮、千亀女、GLOW、一日シリーズ
創業創業昭和43年
住所鹿児島県志布志市志布志町安楽215番地
電話0993-36-2032
ウエブサイトhttps://wakashio.com/

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