お酒の賞味期限について 賞味期限が切れたお酒の活用方法

新型コロナウイルス感染症の影響により、気軽に外へ飲みに行くことができなくなってしまった今日この頃。そうは言っても、美味しいお酒を飲みたいという欲望には勝てません。そんなときは、好きなお酒をたくさん買って、自宅で飲む「家飲み」もおすすめです。いつでも気軽に飲めて、おまけに外で飲むよりもお手頃。いいこと尽くしですよね。

しかし、ひとつだけ注意しなくてはいけないことがあります。それは、「お酒の賞味期限」について。お酒によっては、賞味期限の表示があるものもありますが、いつまで飲めるのか判断しづらいもの。

そこで今回は、「お酒の賞味期限」について解説します。自宅でお酒を美味しく飲むために、知って欲しいポイントをご紹介するので、素敵な家飲みの参考にしてみてくださいね。

お酒には賞味期限の表示がない

賞味期限缶

実は、スーパーなどで販売されているお酒のほとんどは、賞味期限の表示がありません。お酒のラベルを見ても、ひっくり返して見ても、賞味期限を示す数字は記載されていないことがほとんどです。

理由としては、アルコールの殺菌作用によって長期保存が可能なため。品質が落ちることはあっても、腐ることがありません。その代わり、日本酒(清酒)に関してのみ製造した年月(製造年月)の記載が義務付けられています。

種類によっては賞味期限の表示がある

缶ビールや缶チューハイは、自社の基準によって賞味期限を記載しています。

その期間は、多くが製造から9ヶ月ほど。

缶ビールや缶チューハイはもともと劣化が遅いお酒ですが、消費者に美味しく飲んでもらうため、目安の期限を提示しています。お酒の美味しさをしっかりと味わうためにも、賞味期限内に飲んでしまいたいですね。

製造年月とは?

製造年月ラベル

では、清酒にのみ表示が義務付けられている「製造年月」とはなんでしょうか?

国税庁が定める製造年月とは、原則として「販売を目的として清酒が瓶詰めされた時期」のこと。つまり、作られた時期がいつであれ、販売を目的にして清酒を瓶詰めした日付が、製造年月となります。

瓶詰めされたばかりの新鮮な清酒を味わいたいのであれば、日付が近い瓶を選ぶのがおすすめです。

賞味期限とは?

参考に、食品表示法の「賞味期限」と「消費期限」についてご紹介しましょう。

賞味期限開封せず適切な保存をした場合に、「品質が変わらずに美味しく食べられる時期」のこと。スナック菓子やカップ麺、缶詰、飲料など傷みにくい食品に表示されています。「賞味期限」は、多少過ぎてしまったとしても大丈夫。あくまで、「美味しく食べられる」時期を示しているので、安全に食べることができます。
消費期限一方で「消費期限」は、開封せず適切な保存をした場合に「腐敗せず安全に食べられる時期」のこと。スーパーで販売されているお弁当やお惣菜、お肉など痛みやすい食品に表示されています。もし「消費期限」が過ぎてしまったら、健康を害する恐れがあるので、絶対に食べないようにしましょう。

お酒の賞味期限の目安

実は、お酒の種類によって賞味期限はさまざま。開封せずに数年置いておいたお酒を飲んでも健康上問題はありませんが、味わいは多少変化してしまうもの。美味しいうちに飲むためにも、早めに飲み切るのがおすすめです。

下記の表を参考にして、お酒を美味しく味わいましょう。あくまで目安なので、詳しい情報は製造メーカーに直接確認してみてくださいね。

種類

未開封の場合

開封後の場合

日本酒

製造年月から1

2週間以内

日本酒(生貯蔵酒、生酒)

製造年月から9ヶ月

1週間以内

ワイン

特にない

1週間以内

ビール

製造後9ヶ月

12日(炭酸がぬける)

チューハイ

製造後1

12日(炭酸がぬける)

焼酎

特にない

3ヶ月以内

ウイスキー、蒸留酒

特にない

6ヶ月以内

リキュール

特にない

3ヶ月以内

日本酒の賞味期限

日本酒は、未開封の場合は記載されている製造年月から1年ほど、開封後の場合は2週間以内に飲んでしまうのが原則です。ただし、日本酒には精米歩合などにより種類がさまざま。

いわゆる普通酒と呼ばれる「火入れ」されたお酒(他にも本醸造酒、吟醸酒、純米酒など)の場合のみ、上記の賞味期限を目安に飲みましょう。「火入れ」とは、日本酒を製造する過程で加熱殺菌処理を施すこと。「火入れ」により日本酒の中で生きている菌を排除することで、美味しい状態を保つことができます。

一方で、「火入れ」されていない生貯蔵や生酒の場合は、日本酒の中で酵素が働いていたり、劣化しやすくなるので早めに飲んでしまうのが良いでしょう。未開封の場合は、製造年月から9ヶ月、開封後は1週間以内に飲むのが美味しく日本酒を楽しめる目安です。火入れに関してはこちらの記事を見るとさらに理解できます。

ワインの賞味期限

未開封の場合、特に賞味期限の目安がないのがワインの特徴です。日光が直接当たらない冷暗所で保存して、ワインの味わいの変化を楽しむのも楽しいでしょう。

開封の場合は、1週間以内に飲んでしまいましょう。空気が触れることでワインが酸化し、少しすっぱくなってしまうかも。

ビール、発泡酒、新ジャンルの賞味期限

ビールや発泡酒、新ジャンルの缶ビールおよび瓶ビールは、未開封の場合だいたい製造から9ヶ月を目安に設定しています。開封後は、炭酸が時間の経過とともに抜けてしまうので、早めに飲むのが吉。長くても1〜2日でしょう。

近年話題のクラフトビールは、無濾過のものや無殺菌のビールが多いため、美味しく飲む目安が短く設定されています。

缶チューハイの賞味期限

スーパーなどで簡単に購入でき、さまざまな味わいを楽しめるチューハイの目安は、製造から1年ほど。開封後は、ビールと同様に炭酸が抜けてしまうので、早めに味わいましょう。

焼酎の賞味期限

焼酎は、アルコール度数が高いため、未開封の場合は賞味期限がありません。ただし、寝かし過ぎると味わいに変化があるので注意が必要です。

開封後は、風味が落ちてしまうため、だいたい3ヶ月以内に飲んでしまうのが良いでしょう。

じゃ、3ヶ月以上だと飲めないの?と言われれば実際は飲めます。焼酎や次のウイスキーやスピリッツ系の蒸留酒は、本来味の劣化は進みにくいアルコールとなります。開栓されていても、しっかりと栓がされ直射日光にあたっていなければ1年以上でも飲むことは可能です。

ただ、衛生的に考えても、開栓して1年以上たったものは、料理等に利用することをおすすめします。その前に飲み切ることを意識してもらうといいでしょう。

ウイスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、テキーラ、ラムの賞味期限

ウイスキーやブランデー、ジン、ウォッカ、テキーラ、ラムなどの蒸留酒も、焼酎と同様にアルコール度数が高いため、未開封の場合は賞味期限がありません。ただし、どのお酒も一番美味しい状態で瓶詰めしているので、早めに飲むのがおすすめ。

開封後は、味わいや香りが変化してしまうため、長くても半年間以内に飲むのが良いでしょう。

リキュールの賞味期限

フレーバーの種類が多いリキュールの賞味期限は、特に定められていません。ただし、開封後は酸化しやすく、フレーバーの味わいが劣化してしまうため、3ヶ月以内に消費するのがおすすめです。

お酒の保存方法

冷蔵庫

美味しいお酒をもっと美味しく飲むために、ご自宅でできるお酒の保存方法はご存知ですか?お酒の種類ごとに保存場所や冷蔵の有無はさまざまなため、下記の表を参考にしてみてください。

ただし、どのお酒においても温度と直射日光にご注意を!

種類

保存場所

要冷蔵

日本酒

冷蔵庫、冷暗所、パントリー

(野菜室も可能)

日本酒(大吟、純吟、吟醸系、生貯蔵酒、生酒)

冷蔵庫

必須

ワイン

冷暗所、パントリー

(白:冷蔵庫、野菜室も可能、赤:夏など室内温が上がるなら野菜室などで保存)

ビール

冷暗所、パントリー

必須

チューハイ

冷暗所、パントリー

必須

焼酎

冷暗所、パントリー

特に必要はない

ウイスキー、蒸留酒

冷暗所、パントリー

特に必要はない

リキュール

冷暗所、パントリー

特に必要はない

日本酒の保存方法

日本酒は、直射日光が当たらない冷暗所やパントリーで保存するのがおすすめ。冷やで飲みたい場合は、冷蔵庫で保存しましょう。

火入れされいない生貯蔵や生酒は、日本酒の中でまだ酵素が働いているため、要冷蔵が基本。野菜室で冷蔵するのも良いでしょう。火入れしている大吟醸、吟醸、純米吟醸など吟醸系も要冷蔵することをおすすめします。日本酒の詳しい種類を知りたい方はこちらをご覧ください。

ワインの保存方法

ワインは温度にとても敏感なお酒なので、直射日光が当たらない冷暗所やパントリーで保存するのが良いでしょう。

赤ワインは、渋みをほどほどに感じられる常温保存がおすすめ。冷やしすぎると、渋みが強まります。一方で白ワインは、冷やすことでフレッシュな酸味やフルーティーな香りが引き立つため、冷蔵で保存しましょう。特にシャンパンなどの泡ものは、冷やすことでスッキリとした味わいをより感じられます。

ただし、湿度が高い夏場では、赤ワインも野菜室などで冷やして美味しさを保ちましょう。

ビール、発泡酒、新ジャンルの保存方法

ビールや発泡酒、新ジャンルの瓶ビールおよび缶ビールは、日光が当たらない涼しい場所か冷蔵庫で保存しましょう。暑い夏場にスッキリとした喉ごしのビールは、冷たくて美味しいですよね。

クラフトビールも酵母が生きているため、要冷蔵です。

缶チューハイの保存方法

オレンジやグレープフルーツなどさまざまな味わいが特徴のチューハイも、日光が当たらない涼しい場所やパントリー、冷蔵庫で保存しましょう。スーパーなどで販売されているのも冷蔵ですよね。冷たくして、美味しくいただきましょう。

焼酎の保存方法

焼酎は、日光が直接当たらない場所であればどこでも保存が可能です。冷蔵する必要もありません。そのままの美味しさを味わえます。

ウイスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、テキーラ、ラムの保存方法

ウイスキーなどの蒸留酒も、冷暗所かパントリーで保存しましょう。冷蔵の必要がなく、美味しいお酒をいただけます。

ウォッカやテキーラの場合は、冷蔵庫でキンキンに冷やすおすすめの飲み方もあります。夏場に飲めば、喉にキーンと刺激をくれる楽しいお酒に早変わり。

リキュールの保存方法

さまざまなフレーバーが特徴のリキュールも、冷暗所かパントリーで保存するのが良いでしょう。果肉がゴロゴロ入っているリキュールの場合は、色合いが悪くなるため冷蔵するのがおすすめです。

お酒の賞味期限が切れたときの対処法

「今日はどのお酒を飲もうかな♪」とウキウキ気分で手に取ったそのお酒、賞味期限が切れていた!ということもあるでしょう。飲んでもいいのか、やめたほうがいいのか、悩みどころですよね。

しかしご安心を!賞味期限が切れたお酒は、そのまま飲んでも問題ありませんが、意外なところで活用ができる優れもの。もちろん、なるべく早めに美味しい状態で飲んでもらうのが1番です!

賞味期限を切れたお酒は飲んでもいいのか?

もし、賞味期限が切れてしまっても大丈夫!健康に問題はないので、いつも通り飲むことができます。

ただし、空気に触れてどんどん酸化してしまうため、購入した当初と同じ味わいは保証できません。美味しく味わうためにも、早めに飲んでしまいたいですね。

賞味期限を切れたお酒の活用方法は?

水炊き

「賞味期限が切れたお酒を飲むのはちょっと…」

という方にも、捨てずに活用できるおすすめの方法があります。

それは、調味料として使用すること。野菜の旨みを引き出したり、コクを出したり、料理の美味しさをアップさせるにはぴったりです。下記の表を参考にして、美味しい料理を作ってみてはいかがでしょうか?

種類活用方法具体的料理
日本酒味の染み込み、うまみを引き出す鍋のダシに追加でいれる
白ワインうまみ・香りを引き出す、お肉が柔らかくなる煮込みハンバーグ、ラタトゥイユ
赤ワイン甘みを抑え、味を引き締める
まろやかになる
ビーフシチュー、ハヤシライス
ビールうまみ・コクを引き出す野菜とお肉のビール煮込み、焼きそば
焼酎食材の臭みを消す、食材を柔らかくする肉や魚の下準備
ウイスキー、蒸留酒甘み・うまみ・コクを引き出すカレーやシチューなどの煮込料理
リキュール香りを出すお菓子作り

まとめ

自宅で、好きなお酒を好きなときに、好きなだけ飲めるのが宅飲みの醍醐味です。

美味しいお酒を美味しく飲むためにも、直射日光が当たらない涼しい場所で保管して、賞味期限内に飲み切ってしまいましょう。もし、賞味期限が切れてしまっても大丈夫!うまみやコクを引き出す調味料として、大活躍してくれます。

新型コロナウイルス感染症の影響により、今後も増える家飲み需要。楽しい家飲みのためにも、お酒の保存方法や賞味期限をしっかりと把握して、素敵な時間を過ごしてくださいね!

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