醸造アルコールの特徴
「醸造アルコール」は、日本酒の「副原料」として醪の段階で添加されるものです。
チューハイを作る時に使われる無色透明の甲類焼酎のようなもの。原料は糖蜜やトウモロコシで、それを発酵・蒸留して造られています。
全ての日本酒に添加されるわけではなく、香りを良くしたり、味わいをすっきりさせるために添加する場合があります。
時々、「醸造アルコールが入っている日本酒は頭が痛くなる」などと言う方もいますが、そんなことは全くありません。もともとは、醪の腐敗を防ぎ安全な日本酒を作るための手段です。
現在、「全国新酒品評会」などでは、ほとんどの出品酒に醸造アルコールが添加されています。醸造アルコールの添加の有無は、自分が飲みたい味わいの日本酒を選ぶ指針にもなります。
醸造アルコールのメリットとデメリット
醸造アルコール添加のメリット
- すっきりとした香り高い日本酒になる
- 香りや味を劣化させる菌(火落ち菌)を防止できる
醸造アルコール添加には、日本酒の味わいを整えつつ、華やかな香りを生み出すというメリットがあります。
醸造アルコール添加のデメリット
- 紙パックなどの大衆酒に使われるのでブランドイメージが下がる
- 純米酒志向の人からは敬遠されやすい
特定名称酒以外の普通酒には、コスト削減のために使われる場合もあります。紙パックに入って売られている、価格が低めのお酒には添加されていることが多いです。
ただ、勘違いしないで欲しいのは醸造アルコールが入っているからダメ、まずいお酒ではないということ。特に、「特定名称酒」で使われる醸造アルコールは日本酒の質を上げたり、守るために必要なものであり人体に有害では決してありません。
最近では、米を原料とした国内産の醸造アルコールを使用する蔵もあります。
醸造アルコール添加の種類は
特定名称酒8種で確認しましょう。
「大吟醸酒」、「吟醸酒」、「特別本醸造酒」、「本醸造酒」とラベルに書かれている日本酒は、醸造アルコールが添加されています。
逆に言えば、「純米」と名の付く日本酒には醸造アルコールは入っていません。純米酒系は米の旨みや甘みそのものを味わえ、根強い人気があります。
吟醸系は、日本酒の中でも香り高く華やかでお祝いの席などでもよく使われるお酒。本醸造系は、すっきりとした味わいのものが多く、お燗につけるとまた違った味わいを見せてくれます。
特定名称酒8種の条件から外れた日本酒は、普通酒と呼ばれます。普通酒は特定名称酒よりも安く購入ことができることが多く、いわゆる普段飲みに使われる方も多いでしょう。
いずれにしても醸造アルコールは化学薬品とは全く別物で、人間の体に害ももたらすものではありません。その時の気分や食事内容によって、選ぶようにすると日本酒選びが楽しくなりますよ。